- 鍼灸(東洋医学)
- 疼痛(とうつう)に関して【東洋医学臨床論】
- 2019年08月1日
疼痛に関して
(Ⅰ. 程度・Ⅱ. 性質・Ⅲ. 特徴・Ⅳ.時間)
Ⅰ. 疼痛の程度
痛みが強い=実証(じつしょう)
痛みが弱い=虚証(きょしょう)
Ⅱ. 疼痛の性質
疼痛部位を按圧する→疼痛増強=拒按(きょあん)=実証(じつしょう)
疼痛部位を按圧する→疼痛軽減=喜按(きあん)=虚証(じつしょう)
喜温:温めると疼痛は軽減するが,冷やすと疼痛が増強するもの。( 寒証 )、( 虚証 )の疼痛に多く見られる。
喜冷:冷やすと疼痛は軽減するが,温めると疼痛が増強するもの。( 熱証 )に多く見られる。
脹痛(ちょうつう)
脹った感じ、膨満感を伴う疼痛。これは( 気滞 )による疼痛の特徴。
疼痛部位が一定せず、症状が軽くなったり重くなったりする者は、( 気滞証 )に属する。
ただし同じ脹痛でも頭部の脹痛,眼球の脹痛は、( 肝陽上亢 )or( 肝火上炎証 )
脇肋部の脹痛は、( 肝鬱気滞 )が考えされる。
刺痛(しつう)
錐(きり)で刺したような痛み。( 血瘀証 )( 瘀血証 )による痛み。
酸痛(さんつう)
痛む部位にだるさを伴うもの。虚性の病理変化に多く見られる。四肢、体幹部に現れやすい。
( 気血不足 )( 湿証 )によって起こる。ただし腰膝部の酸痛は、( 腎虚証 )のものが多い。
重痛(じゅうつう)
疼痛部位が重く感じられるもの。重い感覚を伴う痛み。( 湿邪の重濁性 )によって気血の運行が滞ることが多い。
頭部、四肢、腰部および全身に現れやすい。
冷痛(れいつう)
冷えを伴う疼痛で温めると軽減する。冷やすと増悪する。
( 寒邪 )or( 陽気不足 )により起こる。
灼痛(しゃくつう)
灼熱感を伴う疼痛で,冷やすと軽減する。温めると増悪する。
( 火邪 )or( 陰虚陽亢 )により起こるものが多い。
絞痛(こうつう)
しめつけられるような痛み、疝痛のことである。
内臓疾患(結石・胆石)に多く見られる。( 寒邪 )( 瘀血 )( 痰濁 )により起こるものが多い。
痞痛(ひつう)
つかえorつまって起こるような疼痛。( 気機 )の昇降失調によるものが多い。
心下部、胃脘部に現れやすい。
隠痛(いんつう)
我慢できる程度のはっきりしない疼痛であるが、持続的にジワジワ、シクシク痛むもの。虚証
( 気血不足 )や( 陰寒 )( 内生 )( 温煦機能低下 )により起こることが多い。
掣痛(せいつう)
引っ張られるような疼痛。つったような感じの痛み。
( 経脈失養 肝血不足 )or( 阻滞 )により起こるものが多い。
肝は筋を主っており,この掣痛は多くの場合は( 肝病 )と関係がある。
空痛(くうつう)
疼痛部位に空虚感のあるもの。押さえると軽減する。
( 腎精不足 )や( 気血不足 )により起こるものが多い。
Ⅲ. 疼痛の特徴
固定痛:疼痛部位が一定しているもの。四肢関節部のこのような固定痛は( 寒湿痺証 )( 瘀血 )によく見られる。
遊走痛:痛む部位が定まらず移動するもので、( 風邪 )( 気滞 )によく見られる。
夜間痛:夜になると痛みが誘発、増悪するもので、( 寒邪 )( 瘀血 )によく見られる。
Ⅳ.疼痛の時間
卒痛(そつつう):突然起こる激しい発作性の疼痛。これは( 寒証性 )の疼痛によく見られる。
緩痛(かんつう):しだいに増悪するものor時々痛むものor終始シクシク痛むというものである。
( 久病 )、( 虚証 )に多く見られ、( 気血不足 )や( 温煦機能失調 )となるとこのような疼痛が起こりやすい。
時痛(じつう):断続的な痛みのことである。気滞性の疼痛や虚性の疼痛に多く見られる。
持続痛(じぞくつう):瘀血によるものが多い。